英語が苦手な受験生の参考書
英語を苦手としている受験生の多くは、中学段階でつまずいている。中学で学ぶべき事項を理解していないのに、大学受験用の参考書にアタックしても、理解できるはずもない。英語が苦手、偏差値が45以下の受験生は中学の英語からもう一度おさらいをしてほしい。遠回りのように思えるかもしれないが、急がば回れなのである。
中学英語というとバカにしがちだが、重要な文法事項や語彙の基本は中学英語にある。基本に立ち返って、自分を見つめ直してほしい。
〜 英単語・英熟語編 〜
ここでは、中学生用と高校初級用の単語熟語集を紹介する。
英語の苦手な受験生は基本的な単熟がすっぽり抜けている。これら基本単語をマスターしていないのに、cultureやliteratureといった単語を覚えたところで、英文は読めるようにはならない。cultureが出現しない英文はあるが、基本単語を使わない英文はない。
英語が苦手と認めるのならば、早急に基本単語を頭の中にたたき込む必要がある。
- 『くもんの中学英単語1480』(くもん出版)
- 『中学短文で覚える英単語1700』(文英堂)
- 『英検Pass単熟語準2級』(旺文社)
- 『VITAL4500英単語・熟語』(文英堂)
- 『合格英単語600』(ごま書房)
- 『英単語センター1500』(東進ブックス)
- 『合格英熟語300』(ごま書房)
- 『英熟語600』(旺文社)
『くもんの中学英単語1480』(くもん出版)
受験生のレベル |
中学レベルの単語に不安のある受験生 |
評価 |
★★★★★ |
特徴 |
発行後かなりの時間を経て認められた大器晩成型の良書。 |
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大学受験用の単語集は、中学の基本的な単語や高校初級レベルの単語は「すべて頭の中に入っている」を前提として単語の選択がされている。だから、基本的な単語がすっぽりと抜けている受験生が必死になって暗記をしても、効果が現れない 英語が大の苦手というならば、中学英語に戻っての学習が必要になる。英語が苦手といっても、高校生や受験生が中学英語に立ち戻るには抵抗があるだろう。しかし、下手なプライドを持っていては英語はいつまでもできるようにはならない。勇気を持って、中学英語から再出発をしてほしい。
その再出発にふさわしい単語集が『くもんの中学英単語1480』である。抜けてしまった基礎を埋めるのに最適な単語集だ。出る順にただ並べただけではなく、さまざまな工夫が凝らされている。クオリティ的には中学生向けの単語集の域を超えている良書だ。 |
『中学短文で覚える英単語1700』(文英堂)
受験生のレベル |
中学レベルの単語に不安のある受験生 |
評価 |
★★★★★ |
特徴 |
短い例文を使って単語を覚えるのに最適な『DUO』型の単語集 |
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例文の中に単語をちりばめ、記憶の促進を図る『DUO』型の単語集である。タイトルに中学とあるが、もともとは英語のできない高校生向けに作られた単語集で、中学生向けにしたのは営業戦略上のことらしい(伝聞推定)。 羅列型に無理矢理例文を引っ付けた単語集はたくさんあるが、同書の優れているのは、例文が短く易しいのに加え、一文の中に必須単語4〜5語を凝縮した点にある。短いセンテンスを繰り返す読むだけで、4〜5の英単語(熟語)が頭の中にはいるという仕組みだ。単語集につきものとなった例文だが、『DUO』が売れたのに右にならえで、とにかく例文をと無駄な例文があふれている単語集は多い。しかし、『中学短文で覚える英単語1700』のように、短いセンテンスに複数の単語を押し込むといった工夫のされた単語集はあまりない。これぞ編集者のアイデアが発揮された単語集といえるだろう。
ちなみに店頭売りよりも学校採用教材出版社のイメージが強い文英堂だが、近年いろいろと工夫を凝らした参考書を出版している。文英堂の新刊は要チェックだ!! |
『英検Pass単熟語準2級』(旺文社)
受験生のレベル |
高校入学後に英語につまづいた受験生 |
評価 |
★★★★★ |
特徴 |
高校入試レベルから大学受験レベルへの橋渡し |
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英検準2級対象の単語集だが、収録されている単語と熟語は高校入試レベルから大学受験レベルへの橋渡しにぴったり。中学時代、英語は得意だったが、高校に入ってとたんに苦手科目になった受験生が高校1年、2年時代に抜け落ちてしまった単語を補うのに最適の単語集だ。 単語パートには例文が収録されていないために、一部批判的な声もある。だが、『英検Pass単熟語準2級』に収録されている単語は長文や文法問題で頻繁に出てくる。例文の必要性は感じられない。よけいな雑音に耳を傾けず、暗記に専念してもらいたい。
CDは別売りだが、併用すると効果的だ。
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『VITAL4500英単語・熟語』(文英堂)
受験生のレベル |
単語力に不安を感じている受験生 |
評価 |
★★★★★ |
特徴 |
一つの単語に意味は一つを貫いた画期的単語集。高校入試レベルから大学入試レベルのステップに。理屈をつけて覚えるのが好きな受験生向き。 |
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単語種で単語を覚えようとしているときに感じるのが、「どうしてこんなにたくさんの意味を覚えなければならないのか」だろう。wordのように「言葉」のほかに「約束」と類推が難しい単語ならば仕方がないとあきらめがつくが、大学入試では翻訳家のような微妙なニュアンスの違いは求められない。使い回しの利く一つの訳語を受験生は求めている。『VITAL4500英単語・熟語』は一つの単語に訳語は一つといった受験生の要求に応えている。 また、無意味な例文至上主義の単語集が多い中、同書は例文の代わりに数語からなる成句を採用するなど、受験生の負担軽減を図るなどの心遣いもされている。ほかにもすべての見出し語につけられた「語源・語法メモ」で語源的な観点から単語の成り立ちを解説を加え、丸暗記の苦手な受験生の記憶をサポートしている。語源的な説明がつかない単語は既存の知識と結びつけた解説を付け加えるといった具合に、記憶の定着に心血を注いでいる。
なお、タイトルには4500とあるが見出し単語は1161語。語数も手ごろで、CD付き。はじめの一歩にふさわしい単語集だ。 |
『合格英単語600』(ごま書房)
受験生のレベル |
単語力の不足している受験生/基礎の単語を確認したい受験生 |
評価 |
★★★★☆ |
特徴 |
思い切った収録単語限定の単語集。また、単語についての解説が秀逸。 |
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600語限定の単語集だから、挫折することもないだろう。単語力に不安のある受験生は早急にマスターしてもらいたい単語集だ。ただ、東大生も、この600語しか覚えていなかったというのは、宣伝文句と考えるべき。 この本の素晴らしさは、解説にある。1つ1つの単語に、単語集としては珍しく解説が載っている。類似語の区別の仕方だとか、穴埋め問題でどのように問われるかを解説してあるので、重要さを認識しながら学べる点では、単語集の新しい形を提示してくれた。この解説をだけでも、元は取れる。最近出される単語集は、例文重視の傾向が顕著だ。何でもかんでも例文よりも、日本語でしっかりとした解説の方が役に立つケースもある。
600語だから挫折することもないだろう。一冊単語集をマスターしたという自信をつける意味でも、取り組む価値のある単語集である。 |
『英単語センター1500』(東進ブックス)
受験生のレベル |
語彙力の不足している受験生 |
評価 |
★★★★☆ |
特徴 |
CD付きなのに1000円以下! CD付属単語集の先駆け |
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単語集にCDを標準装備した先駆け的な単語集、それが『英単語センター1500』だ。
発音は耳で覚えるのが基本。だが、『英単語センター1500』発売以前、単語集と音声教材は別売りが当たり前であった。今では多くの単語集にCDがついて、ネイティブの発音を耳から学習できる環境が整ったが、それのきっかけを作ってくれたという点では、ターニングポイントな単語集と評価できるだろう。
単語のレベルは、かなり基礎的な単語も含まれている。ゆえに基本単語が頭の中に入っていない受験生にはお勧めである。ただ、レイアウトに気を配ったためか、単語の説明はそれほど詳しくない。だが、『英単語センター1500』は英語ができるようになるためのステップの単語集だ。物足りなくなったら、ほかの単語集にシフトしたい。
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『合格英熟語300』(ごま書房)
受験生のレベル |
熟語を知らない受験生 |
評価 |
★★★★☆ |
特徴 |
挫折率が少なそう。これで挫折したら……。1冊マスターをして達成感に浸ろう! |
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『合格英単語600』の熟語版。精選された熟語が300取り上げられている。左ページが問題、右ページが解答・解説になっている。ただ、熟語が羅列されているだけの熟語集よりは覚えやすい。
熟語を全然知らない受験生なら、基本的な熟語が精選されているので使ってみる価値は十分にある。300題しか載っていないので、挫折することもないだろうし、1冊仕上げたという充実感は勉強をする上で、とても大切だ。
これも『合格英単語600』同様、これだけ覚えれば大丈夫だと思わないで使うこと。あくまで、受験レベルの勉強へのステップと考えるべきだ。
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『英熟語600』(旺文社)
受験生のレベル |
暗記の苦手な受験生から一流大学を狙う受験生まで。 |
評価 |
★★★★★ |
特徴 |
パタパタ開いたり閉じたりしながら勉強するニュースタイルの熟語集。『解体英熟語』と『システム英熟語』の良いとこ取りに成功。 |
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この熟語集の真骨頂は、前置詞を関連づけたり、どういう形で入試で問われるのか、また、熟語をイメージ(こじつけ)たりと、熟語集なのに、ここまでやってくれたなと思わせる楽しさである。熟語集おきまりのの「コンピューターの頻度順データ」という、誰が書いても同じものを量産するだけの分野で、著者が自分の個性を表現しようとしている点は、使う者の気分を嬉しくさせてくれる。そして、二大熟語集である『システム英熟語』の解説のシステマティックなところと、『解体英熟語』の問題集的な要素と解説のおもしろさの融合に成功した点が評価できる。
ただ、タイトルが「英熟語600」となっているから、『英熟語1001』(河合出版)や「英熟語ターゲット1000」(旺文社)といった、定番熟語集と比べると、収録語数が少なく、不安を覚えるかもしれない。しかし、実際は、1500近い熟語が収録されているので、語数的には問題はない。英語が苦手な受験生も得意な受験生もそれぞれの使い方ができる。おすすめの熟語集である。
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『高1・2から大学入試の英熟語FORUM365』(フォーラムA)
受験生のレベル |
丸暗記の苦手な受験生、理屈をつけて覚えるのが好きな受験生。 |
評価 |
★★★★☆ |
特徴 |
一語一語にある詳しい解説が記憶の定着に役立つ。 |
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それぞれの熟語に詳しい解説がされているので、理屈をつけて覚えるのが好きな受験生に適した熟語集だ。見出し語がタイトルの通り365語、関連語を含めると491語ということで、英語の苦手な受験生でも挫折することなくマスターできる収録語数だ。また、あいだに挟まれているコラムもおもしろかったりなど、飽きさせない工夫もされている。 ただ、書かれている内容はいいのだが、無意味に判型が大きかったり、無意味に重かったり、無意味に字が大きかったりと、この「無意味」な部分が全体的に安っぽさを醸し出してしまっているのが残念。参考書は中身とデザインのトータルで判断される。この稚拙なデザインは改良の余地が大いにありだ。一日一語ずつ覚えるようにと、ご丁寧に日付まで書いてあるが、この程度の熟語は一年もかけて覚えるものでもない。これも「無意味」だ。やることなすことすべて裏目に出てしまっている。 内容がいいだけに、センスのいい編集者が手がけたらと思うと残念でならない。 |
英語の苦手な受験生に候補にしてほしいい単語集・熟語集
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